清掃の仕事は人が手で行うもの。そして人の手を動かし「正しい清掃」で快適な環境を創造するには、“技”と“心”が備わっていることが必要となります。
当社では、「誠実なる仕事」を現場で実現するために、一人ひとりの清掃作業員の指導と育成に力を注いでいます。
ここでは、当社の現場指導マニュアルの一部を抜粋し、お客様にお約束している「正しい清掃」のあるべき姿に解説を加えてご紹介します。
当社の仕事をご理解頂くと共に職場でのお掃除の参考になさって頂くなどご活用下さい。
清掃作業の目的は「快適な環境を維持すること」、そして、清掃作業はサービス業です。
お客様の所有する建物に伺う当社の作業員は、お客様に対して不快感を与えないためのマナーや身だしなみを重要な仕事と位置付けています。
● 身だしなみチェックリスト
- 髪の毛は乱れていませんか
- ボタンやチャックは正しくかけられていますか
- つめはきれいですか
- 正規のユニフォームを正しく着用していますか
- 清潔なユニフォームを着ていますか
- 決められた靴を履いていますか、汚れていませんか
- 厚化粧はしていませんか、強い香水をつけていませんか
- 長い髪は束ねていますか
● "7つ"のあいさつ(清掃作業者の7大用語)
- おはようございます
- ありがとうございます
- お待たせいたしました
- いらっしゃいませ
- お気をつけ下さい
- 失礼いたします
- 申し訳ございません
● 作業の心得
- 仕事中に立ち話をしてはいけません
- 建物を利用される方は全てお客様です。気持ち良く接することが大切です
- いつも笑顔を絶やさないようにしましょう
- 挨拶されたら必ず返すようにします
- 作業中は他の方の作業や仕事の邪魔にならないよう注意します
- 備品などは丁寧に扱います
- 出勤時間、決められた作業時間、内容・手順を守りましょう
- カードや鍵の取り扱いには細心の注意を払います。
- 現場の不具合(電球切れ、水漏れ、エレベーターの不調など)は直ちに報告します。
当社の作業員には、ただ単に現場で決められた作業をするということ以前に「どうしてビルクリーニングは必要なのか」、つまり目的を理解することから指導しています。
● ビルクリーニングの"3つ"の目的
- 衛生的な環境を確保すること
- 建物の保全を図ること
- 建物の美観を維持すること
さらにこうした活動を通じて「仕事しやすい職場づくりをお手伝いすること」です。
当社ではお客様に快適な環境づくりをよりリーズナブルに実現して頂くために「日常清掃」と「定期清掃」を適切に組み合わせて計画的に実施されることをご提案しています。
また作業員にはそれぞれの清掃の違いと意義を正しく理解させ、日頃の仕事に活かすよう指導しています。
● 日常清掃と定期清掃の違い
日常清掃
| 定期清掃
|
普段のお掃除 |
計画的に行う少し大がかりなお掃除 |
床掃き・拭き
ホコリ取り
灰皿清掃
各種ゴミ回収
トイレ、洗面所、給湯室の清掃
室内外の掃除機がけ
消耗品の補充
出入り口マットや外回りの掃除
など
|
床面の洗浄
床維持剤の塗布
尿石落し
壁面、柱の清掃
照明器具や換気扇の清掃
高所の除塵
など
|
当社の得意分野である「日常清掃」。この作業の品質維持のために、作業員に対して「清掃箇所」と「用具別」による清掃方法について細かく指導しています。
● 清掃箇所別作業ポイント
(1)玄関・エントランス
- 建物第一印象を決める場所です。いつも美観と清潔感を保つことが大切です。
- 基本は床面の清掃、土砂やほこり・ヒールマークなどの汚れを適宜チェックします。
- 床面の除塵は奥から入口に向かって、自在ぼうきや掃除機を用います。
- 幅木や壁面を汚さないように注意します。
- 適切な洗剤を使用します。
- ガラス面やステンレス部分、手すりなどの手あかにも注意し、濡れ拭き後、カラ拭きをワイピングクロスで拭き上げます。
(2)トイレ
- 作業準備として、作業表示板の設置、保護手袋の使用、用具や洗剤の用意、必要時には窓を開けるなど換気を行う。
- 作業手順は次の通りです。「準備」→「消耗品の補填」→「床面の掃き掃除」→「洗面周りの掃除」→「廃棄物の回収」→「小便器の清掃」→「大便器の清掃」→「床面の拭き掃除」→「ドア・間仕切りの拭き掃除」→「壁面の拭き掃除」となります。
- 小便器周りの清掃手順は「水洗ボタン(センサー)で水を流す」→「目皿を外し、トイレ用洗剤を棒タワシ、ブラシやスポンジにスプレー」→「上部内面をこする」→「内面両側を上下に、中央部は格子状にこする」→「リム部分など洗い残しが無いかチェック」→「目皿を裏まできれいに洗う」→「トラップ、パイプを洗う」→「目皿を戻し水を流しながら全体の汚れを落とす」→「外側は絞った専用タオルで上から下に拭き上げる(必要に応じて洗剤を使用)」
- 大便器周りの清掃手順は次の通りです。「フラッシュバルブで水を流す」→「トイレ用洗剤をブラシやスポンジにスプレー」→「上部内側を洗う」→「下に向かって前後左右から洗う」→「リム部分など洗い残しが無いかチェック」→「ブラシをトラップの奥まで押し込み円を描くようにこする」→「水を流しながら全体の汚れを洗い流す」→「便ふたと便座を固く絞った便器用ぞうきんで拭き上げ、その後、乾いた専用ぞうきんで仕上げ拭きする(必要に応じて洗剤を使用)」→「便器のふちや外面を絞った専用タオルで格子状に拭き上げる」
- 洗剤の選定については指導員の指示に従い、守るようにします。
- 便がこびりついている場合には少量のトイレットペーパーに水をつけて湿布し、効果が表れた頃にはがしてスポンジで洗います。
- トイレは感染などを防ぐために見た目だけではなく、清潔に心がけます。
- ペーパーホルダー、シートホルダーや金属部分は乾いたタオルで拭き上げます。
- シンクなどステンレス部分では固いタワシやスポンジは使用しません。ライトクリーニングたわしに中性洗剤を付けて洗浄します。
- 洗面台はライトクリーニングたわしと歯ブラシなどを使用して中性洗剤で洗い専用ぞうきんで拭き上げます。
(3)廊下・階段
- 廊下では主に動線に合わせた床面の清掃が中心になります。
- 隅にほこりが溜まる場合がありますから、注意します。
- 除塵作業にはダストクロスや自在ぼうき、掃除機を使用します。
- 壁面は幅木やエレベーターのボタン、照明スイッチの手あか汚れは絞ったタオルで拭き取ります(必要に応じて洗剤を使用)。
- 硬質床や弾性床の階段では、自在ぼうきで防塵作業を行います。その際には、ほこりを両端から中央に掃き寄せ降ろして行きます。
- 繊維床の廊下・階段の防塵には、掃除機やハンドクリーナーを使用します。
- 階段手すりの手あか汚れは絞ったタオルで拭き取ります(必要に応じて洗剤を使用)。
- ガラス面や窓枠も固く絞ったタオルで拭き、その後、乾いたワイピングクロスで拭き上げます(必要に応じて洗剤を使用)。
- 灰皿やごみ箱に溜まった廃棄物を分別して回収します。
(4)事務所内
- 事務所内に立ち入る際には「失礼いたします」と一声かけてから入室します。
- ゴミの回収は出入り口からスタートして出入り口で終了します。
- ゴミをダストカート等に移す時は、外にこぼさないよう注意します。
- ゴミの分別を間違えないよう注意します。また、ゴミ箱にゴミと見分けがつかないものが入っている場合には近くにいる人に確認します。
- 通路や室内での掃除機作業は、コンセントに近いところから行いコードが絡まないよう注意します。また通行人に十分注意します。
- 机の下の掃除の際にはイスなど簡単に移動できるものは動かして作業します。作業後はもとに戻しておきます。
- 室内で水モップを使用する際には滑り防止のために固く絞って使用します。
- 電話や作業で忙しくしている人の周りは、早く立ち去るか後にします。
- 事務所から出る際には「失礼いたしました」と挨拶をして退出します。
● 清掃用具別作業ポイント
(1)自在ぼうき
- 持ち方は片手の親指を柄の先端に軽く乗せ、もう片方はおへその位地ぐらいをつかみます。手の間隔は30〜40センチくらいです。背筋を伸ばして前かがみにならないよう注意します。
- 穂先を床から離さずに、軽く押さえて水平に掃きます。これを「押さえ掃き」といいます。ほこりを舞わせないよう注意します。
- 掃きながら前に進みます。ごみやほこりを踏まないようにします。
- 自在ぼうきは立てすぎず、寝かせ過ぎず取り扱います。
- 幅木にぶつけないように注意します。
- 毛先にほこりや髪の毛が絡まりやすいので毛がきなどで手入れをします。
- 使用後は所定の場所に所定の方法で片付けます。用具に不具合があれば直ちに報告します。
(2)モップ(水モップ・ダストクロス)
- 持ち方は肩の力を抜いて、背筋を伸ばします。自在ぼうきと同様に片手の親指を柄の先端に軽く乗せ、もう片方はおへその位地ぐらいをつかみます。手の間隔は30〜40センチくらいです。
- 拭き方の基本はモップを左右に動かすことです。汚れたら裏返します。
- 洗う時は水をためたシンクやバケツでもみ洗い・振り洗いします。
- 絞る時は房を真ん中で分けて半分ずつ、内側にねじります。
- 運ぶ時に床を引きずったり、肩に担いではいけません。
- ダストクロス(乾式モップ)とは不織布を使ったモップのことです。不織布を専用のモップ柄に挟んで使用します。
- 狭い場所での使用の際には、幅木や備品にぶつけないよう注意します。
- 使用後は所定の場所に所定の方法で片付けます。用具に不具合があれば直ちに報告します。
(3)掃除機
- お客様が使用中のコンセントは絶対に抜かないようにします。
- 運ぶ際には、コードを束ね、ホースと吸引ノズル・本体を体の横に持ち、周りの邪魔にならないよう注意します。
- ハンドルは両手で持って作業します。
- 足を肩幅程度に広げ、進む方の足を半歩前に出した姿勢で前方から足元に引き・また前方に出すことを繰り返しながら進みます。床面を軽くなでるように行います。
- 急いで行ってはいけません。十分な吸い込み効果がないばかりか、カーペットが痛む場合もあります。
- 毛足の長いカーペットに掃除機跡が残る場合があります。毛並みを揃えるよう注意しながら、隅の方からはじめ後ろ下がりに入口の方へと行います。
- ホースやコードが足に絡まないよう注意します。
- コードを抜く際に濡れた手では行わないようにします。また、間違えて他のコードを抜かないよう注意します。
- 使用後は所定の場所に所定の方法で片付けます。用具に不具合があれば直ちに報告します。
(4)洗剤
- 汚れには水溶性のもの、油溶性のものなど様々な性質があり、付着状態もまちまちです。また洗剤にもアルカリ性、酸性、中性など様々なものがあります。汚れの性質や程度、箇所によって選ぶ洗剤も使用方法も違います。安全面確保の点からも指導員の指示に必ず従うようにします。
- 洗剤を使う際には、指導員の指示に加えて説明書などを必ず読むようにします。
- 使用後は所定の場所に所定の方法で片付けます。用具に不具合があれば直ちに報告します。
(5)ぞうきん・タオル・ワイピングクロス
- タオルはダスター、クロスと呼ぶ場合もあります。8つ折りにしてタオルの端に親指を添えて拭きます。
- タオルは目的により水分の加え方を変えて使用します。水分の少ない順に「から拭き」「しめり拭き」「水ぶき」と呼びます。
- 汚れた面を折り返しながら新しい面で常に拭くようにします。
- 水バケツの移動の際には水を飛び散らせないように注意します。また飛び散った際には直ちに拭きとるようにします。
- 作業後は丁寧にすすぎます。タオルの端を手のひらに乗せて絞るように洗います。絞る際は棒状にしてひねるようにします。
- 洗った後は所定の位置で乾かします。
- ワイピングクロスはガラスや金属などを磨き上げる時に使用します。
- 使用後は所定の場所に所定の方法で片付けます。用具に不具合があれば直ちに報告します。